乱華~羽をくれた君~【完】
俺たちは学校からさほど遠くない公園に行った。
入口の低い柵に腰かけた百合が、静かに話し始めた。
「入学式の時さ・・・あたし先輩に呼び出されて、囲まれて・・・
そんで陸が助けてくれたじゃん?」
「ああ・・・もしかしてあん時の奴らか!?」
思い出してみれば、見たことがあるような顔だった。
「うん・・・それから陸がいたときはしばらく何もなかったんだけど・・・
陸が学校来なくなってから、あーゆう事始まってさ。
友達もとばっちり受けたくなかったみたいで、みんな離れていっちゃった・・・
だから学校で話してくれる子は広樹くらい・・・かな?」
「・・・つーか広樹はこの事知ってんだろ?
あいつ、俺になんも言わねー・・・」
「ううん、広樹も知らないの!
違うクラスだし・・・あいつ鈍感じゃん!?」
百合は笑っていた。
「笑うなよ」
「え?」
「無理して笑うな」
「う・・・ん。やだなぁ、なんか調子狂う!
こんな暗い話、したかったわけじゃないのに。
てか、あたしは大丈夫だから!御覧の通り、ほら!元気だしっ」
立ちあがり、オレの目の前に来て、満面の笑みを見せてくる。
それが余計に辛そうだった。
・・・俺がそばにいたら助けてやれたのに。
いつの間にか俺は目の前にいる百合を抱きしめていた。