乱華~羽をくれた君~【完】
「え・・・陸?」
「・・・俺の女になる?」
「え!?」
驚いて目を丸くさせる百合。
「もう二度とそんな辛い思い、お前にさせねぇから」
俺の口からこんな言葉が出るなんて。
・・・でも本心だった。
いつの間にか俺は百合に惹かれていた。
いや、最初から好きだったのかもしれない。
分け隔てなく、屈託のない笑顔で話しかけてくる百合を、俺はずっと好きだった。
ただ、どうしたらいいかわからず、逃げていただけなんだ。
でももうそんな自分のエゴなんてどうでもいい。
目の前の大事な女を守ることができるなら。
百合はとても驚いた顔で俺を見つめたままだった。
「・・・なんだよ」
そんなに見つめられると正直恥ずかしい。
こんなこと言ったのは生まれて初めてだから。
「嬉しいの・・・陸、本当なの?」
「・・・ああ」
目には涙が浮かんでいた。
百合の体は細く、柔らかかった。
力を入れたら簡単に壊れてしまいそうで。
こんな小さな体でずっと悩んでいたんだろうか。
もっと早く気付いてやれたら・・・
百合の口に優しくキスをした。
その時俺は、いつまでもこの笑顔が消えませんようにと願った。
その願いは脆くも儚く崩れ去っていくものだとも知らずに。