乱華~羽をくれた君~【完】
「でもな、あっちの頭は相当イカってると思うぞ、二回もやられてんだからな。面目丸つぶれだろ」
あたしと美由紀は顔を見合わせた。
「まぁ・・・大丈夫じゃない?陸さんなら強いもん!」
美由紀があたしを元気づけるかのように言ってくれてるのがわかる。
その時、陸からメールがあった。
【今百合んちの前。出てこれる?】
あたしは広樹と百合にメールの内容を告げ、急いで家を飛び出した。
夜中の12時。静まり返っている住宅街に一台のバイクが家の前で停まっていた。
「お前なに息切らしてんだよ、家の目の前にいるっつーのに」
フッと笑った彼の胸に飛び込んだ。
さっきの話を聞いて恐くなったのか、あたしは陸をぎゅーっと抱きしめる。
「・・・どーした?」
陸は優しくあたしの頭をなでてくれる。
「ううん・・・会いたかった・・・」
優しく、壊れ物を扱うようにそっとあたしの頬に触れ、キスをしてくれた。
陸は付き合ってからすごく優しくなった。
すごく大事・・・だから余計に恐い。
もう喧嘩なんかしないで・・・
総長なんて辞めてって言えたらどんなに楽なんだろう。