乱華~羽をくれた君~【完】
「・・・そう!?ふ、太ったのかなっ」
慌てて手で顔を隠したが、陸はその手をどけて顔をじっと見つめてきた。
「お前またいじめられてんのか?」
「ううん、ちがうの、大丈夫だから・・・!!」
「なんかあったらすぐに言えよ?」
「・・・うん」
「そーいや!ほらっ」
陸はあたしの手のひらの上に小さな箱を置いた。
「なに・・・これ?」
「おめでとう」
「え?」
「えって・・・昨日百合の誕生日だったろーが!忘れてんじゃねーよ」
ハハっと豪快に笑う陸。
そうだ、昨日自分の誕生日だったんだ。
最高の誕生日になるはずが、最悪な誕生日になってしまった。
「開けてみろよ?」
あたしは頷き、その小さな箱を開けた。
中には華奢なカワイイブレスレットが入っている。
「かわいい・・・」
「買うの恥ずかしかったんだからなっ」
陸があたしのために・・・
本当は物凄く物凄く嬉しいはずなのに、素直に喜べない。
あの事がなければどんなに楽しい誕生日になったんだろうか。
そう思うと悔しくてやりきれない思いが溢れた。