乱華~羽をくれた君~【完】
百合の親は俺達に気づくと、ゆっくり顔をあげた。
その顔は泣きすぎてて目が腫れあがっている状態で・・・
「・・・百合・・・百合は!?」
「陸くん・・・百合は・・・霊安室だ・・・」
百合の父親がこめかみを押さえながらゆっくりと口を開いた。
「・・・霊安室!?・・・なにかの間違いじゃ・・・」
広樹がかなり動揺している。
「・・・嘘ですよね、だって昨日まで全然普通だったんですよ、普通に電話して・・・あいつ明るくて何も変わんなくて・・・」
「私だって信じられんよ!なんで百合が・・・百合が自殺なんて・・・!!」
俺の言葉を遮るように言った父親の口調は、とても苛立っていた。
「う・・・うそでしょ・・・百合・・・」
美由紀がその場に崩れ落ちるのを広樹が支えた。
俺は急いで地下の霊安室へ向かった。
顔を見ればわかる。
お前じゃないよな・・・?
絶対お前じゃない!
霊安室の前で看護師に止められた。
「菊池百合さんのご家族の方ですか!?」
「あ・・・はい」
「ではこちらにどうぞ・・・遺体の損傷が激しいので一部分だけですが・・・」
「あの・・・顔は・・・」
「顔の損傷はかなりひどいので・・・」
霊安室に入った途端、空気が変わった。
空調のせいなのか、冷たくて肌寒い。
それが余計に俺の鼓動を早くさせる。