乱華~羽をくれた君~【完】



百合の親は俺達に気づくと、ゆっくり顔をあげた。


その顔は泣きすぎてて目が腫れあがっている状態で・・・



「・・・百合・・・百合は!?」


「陸くん・・・百合は・・・霊安室だ・・・」



百合の父親がこめかみを押さえながらゆっくりと口を開いた。



「・・・霊安室!?・・・なにかの間違いじゃ・・・」



広樹がかなり動揺している。



「・・・嘘ですよね、だって昨日まで全然普通だったんですよ、普通に電話して・・・あいつ明るくて何も変わんなくて・・・」


「私だって信じられんよ!なんで百合が・・・百合が自殺なんて・・・!!」



俺の言葉を遮るように言った父親の口調は、とても苛立っていた。



「う・・・うそでしょ・・・百合・・・」



美由紀がその場に崩れ落ちるのを広樹が支えた。


俺は急いで地下の霊安室へ向かった。


顔を見ればわかる。


お前じゃないよな・・・?


絶対お前じゃない!





霊安室の前で看護師に止められた。



「菊池百合さんのご家族の方ですか!?」




「あ・・・はい」


「ではこちらにどうぞ・・・遺体の損傷が激しいので一部分だけですが・・・」


「あの・・・顔は・・・」


「顔の損傷はかなりひどいので・・・」



霊安室に入った途端、空気が変わった。


空調のせいなのか、冷たくて肌寒い。


それが余計に俺の鼓動を早くさせる。


< 157 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop