乱華~羽をくれた君~【完】


「どんなに悩んでいたことか・・・!お前にわかるか!!」



辺りにいる人たちがチラチラとこっちを見てくる。



「すみませんでした!!」



俺は土下座して謝った。


地面に顔をつけて。



「・・・誤ったってなぁ、百合はもう戻ってこないんだよ!お前が百合を殺したようなもんなんだからな!」



気が済むまで殴ってくれ。


ぶつけようのない怒りを俺にぶつけてくれよ。


しかし父親が殴ったのはたった一回だけだった。




「もう・・・2度と顔を見せるな」



フラフラした歩き方で家の中へと戻っていく。


俺は最後まで地面に顔をつけたままだった。



「お・・・おい陸・・・顔あげろよ・・・」


「ああ・・・わりぃな。お前も怒鳴られちまって」


「んなことより・・・さっきの話・・・本当にお前の子供なのか?」




俺の目の前にしゃがみこみ、怪訝そうな目で見てくる広樹。



「・・・いや、違う」


「じゃあなんで!!」


「・・・いいんだよ、どっちにしろ俺のせいだ。俺のせいで百合は死んだんだから」


「陸・・・」



俺は立ち上がり、広樹の顔を見下ろした。



「広樹、もし俺がやられたら・・・乱華の事頼むぞ」


「え・・・お前何する気だよ!?」


「・・・ちょっとやんなきゃねーことある」


「俺も行く!なんならみんな呼んで・・・」


「いいんだよ!俺一人でいく。今回の事は俺一人の問題だから」


「・・・」


「だから絶対・・・他の奴らに言うんじゃねーぞ」


「ああ・・・」



広樹は納得していないようだった。


でもこれは俺一人の問題だ。


他の奴に迷惑かけらんねー。


たとえ死ぬことになっても・・・


やんなきゃいけねーんだ。


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