乱華~羽をくれた君~【完】
第4章
慈しみの愛
陸さんがひとつひとつ思い出しながらゆっくり話してくれた。
それはずっと心の中に閉じ込めてあった物。
あたしはやっと陸さんのその心の中に入ることができた。
話してくれている間、ずっとあたしの手を握ってくれていた。
その手が時折震えていた。
「・・・陸さん、話してくれてありがとう・・・」
「奈緒・・・泣いてんの?」
陸さんがもう片方の手でそっとあたしの涙をすくう。
「こんなこと今まで誰にも話したことねぇし・・・てか百合の事、気軽に言いたくなかった」
「・・・うん」
「俺さ、百合が死んでからホント適当な人生送ってたよ。適当に仕事して適当に女と遊んで付き合って。走ってる時なんかこのまま死んでもいいなんて本気で思ってた。・・・だからあんたと付き合った時も本当はすぐ別れるつもりだった」
わかっていた事だったけど、ハッキリ言われるとちょっと胸が痛む。
「今まで深入りしてくる女なんていなかったし。・・・でもあんたは俺の事信じ切って優しいとか言うし。こんなどーしよーもねぇ俺のどこがいーんだって思った。正直めんどくせー奴って・・・」
「ひど・・・っ」
陸さんはハハッと笑い、ソファーに寝転んだ。