乱華~羽をくれた君~【完】
わたしの居場所
バイクのヘッドライトの光を浴びて、キラキラしていた陸さんの栗色の髪。
スラリと高い身長、まっすぐで優しい瞳。
陸さんの事が頭から離れない。
あたしはその日を境に、夜中に家を抜け出しては暴走族の走行を見に行ったり、集まりに顔を出すようになった。
陸さんに会いたくて、会いたくて。
でも陸さんとは全くといっていいほど話もできなかったし、いつも会えるわけではなかった。
自分自身も茶髪にしたり、見た目がどんどん派手になっていく。
学校も遅刻や早退なんて当たり前で、先生にもよく怒られた。
周りもあたしの変化にすごく驚いていた。
高校デビュー・・とでもいいましょうか。
みんなが驚いているのを見るのが楽しかったし、快感だった。
あたしはこういう事で日ごろのストレスを発散していたのかもしれない。
夜の世界はすぐに慣れた。
理香子やその周りの友達は、会ってもただ睨むだけで挨拶もしてこないけど、他のみんなは優しくしてくれている。
あたしはやっと、自分の居場所を見つけた気がした。
あんなに場違いだと思っていた場所がこんなに居心地良くなるなんて・・思ってもみなかった。