乱華~羽をくれた君~【完】
「愛してる奈緒・・・」
何度その言葉を言われたかわからない。
愛されてるってこういう事なんだ。
こういう気持ちになるんだ・・・
あたしは嬉しくて何度も涙を流した。
そのたびに優しく涙をぬぐってくれる陸さん。
脱ぐと意外にも逞しい陸さんの身体に身を委ねる。
今までの辛い記憶が綺麗に消されるように。
傷口が塞がっていくように。
全てを包みこんで受け入れてくれたこの愛しい人を、あたしは二度と離したりはしない。
「おはよー」
目を覚ますと目の前に陸さんの顔があった。
あたしは陸さんの腕の中で朝を迎えていた。
恥ずかしくて毛布を頭まですっぽりかぶる。
「・・・なんで隠れんだよ」
「・・・だって・・・」
「もう全部見たんだからさー隠さなくていーじゃん!?」
毛布を勢いよくはがされた。
「きゃーーーッ」
「おらっ!」
くすぐられたりして、二人でバタバタとはしゃぐ。
すると、突然後ろから強く抱きしめられた。
「・・・陸さん?」
「奈緒・・・俺決めたから」
「・・・何を・・・?」
「俺・・・乱華引退する」
あたしは勢いよく振り返った。
陸さんの顔は真剣で、決意に満ちた表情をしている。