乱華~羽をくれた君~【完】





「愛してる奈緒・・・」




何度その言葉を言われたかわからない。


愛されてるってこういう事なんだ。

こういう気持ちになるんだ・・・


あたしは嬉しくて何度も涙を流した。

そのたびに優しく涙をぬぐってくれる陸さん。

脱ぐと意外にも逞しい陸さんの身体に身を委ねる。



今までの辛い記憶が綺麗に消されるように。

傷口が塞がっていくように。



全てを包みこんで受け入れてくれたこの愛しい人を、あたしは二度と離したりはしない。








「おはよー」



目を覚ますと目の前に陸さんの顔があった。


あたしは陸さんの腕の中で朝を迎えていた。


恥ずかしくて毛布を頭まですっぽりかぶる。



「・・・なんで隠れんだよ」



「・・・だって・・・」



「もう全部見たんだからさー隠さなくていーじゃん!?」




毛布を勢いよくはがされた。



「きゃーーーッ」


「おらっ!」



くすぐられたりして、二人でバタバタとはしゃぐ。


すると、突然後ろから強く抱きしめられた。



「・・・陸さん?」


「奈緒・・・俺決めたから」


「・・・何を・・・?」


「俺・・・乱華引退する」



あたしは勢いよく振り返った。

陸さんの顔は真剣で、決意に満ちた表情をしている。

< 171 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop