乱華~羽をくれた君~【完】
「うん・・・」
母は探してくれていた。
あたしを見捨てないでいてくれた。
義父から守ろうとしてくれていた。
次々と溢れ出てくる涙が止まらない。
「とっても優しそうな人ね。その奈緒の笑顔見てね、ああ、もう何年もあんな笑顔見てないって気が付いたの・・・馬鹿よね、今更気付くなんて・・・」
「お母さん・・・」
「安心したらなんか倒れちゃって・・・気付いたら病院だったのよ」
お母さんは義父の事でショックを受けて倒れたんじゃない。
あたしを心配して探しまわって・・・そのせいだったんだ。
あたしのせいで…
「体・・・大丈夫なの?」
「ええ。元々精神的に弱かった事もあったから・・。でももうすぐ退院できそうなの」
「そっか・・・良かった」
「奈緒・・・退院したら・・・お母さんと会ってくれる?」
「・・・うん」
「お母さんを・・・許してくれる・・・?」
「うん・・・」
そんなの当たり前だよお母さん・・・
会ってぎゅーって抱きしめたい。
・・・でも照れ屋のあたしは今はまだそんな事口に出して言えないけど・・・
会ったら言えるかな・・・
大好きだよって・・・
そして・・・陸さんの事も。
こんなにも素敵な人があたしの彼氏なんだよって紹介したい。
退院したら会う事を約束して、母との電話を切った。