乱華~羽をくれた君~【完】
解けていく糸
翌日学校が休みだったので、あたし達は昼くらいに百合さんの家へ向かった。
陸さんのアパートからバイクで約20分くらいの所にある百合さんちは、二階建てで白と黒を基調とした和風モダンな家だった。
門の横に単車を停めると、ゆっくり家を見上げる陸さん。
百合さんが亡くなって以来ここには来ていなかったはずだし・・・
緊張しているのかな・・・
あたしがぎゅっと陸さんの手をつなぐと、それに気付き、あたしを見てフッと笑ってくれた。
ピンポーン
インターホンの向こうから女の人の声が返ってくる。
『はい』
「突然すみません、桐谷です」
『・・・?はい、ちょっとお待ちください』
陸さんだと気付いていない様子だったが、玄関のドアを開けた時、その女性はとても驚いた表情を見せた。
「りく・・・くん!?」
「お久しぶりです・・・」
その女性に向かって深々と頭を下げた陸さん。
それを見て、慌ててあたしも頭を下げた。
その時、奥から男性がやってくる。
「・・・誰か来たのか?・・・・・・!!?」
その男性は百合さんの父親なのだろうか、陸さんを見るなり2人は驚いた状態で固まっている。