乱華~羽をくれた君~【完】
「突然来て・・・すみません。お2人にもう一度お会いしたくて」
丁寧な口調で話す陸さんに、2人は家の中に入るよう促した。
リビングに通され、あたしと陸さんはソファーに座った。
目の前には見るからに厳しそうな百合さんの父親がいる。
百合さんのお母さんはお茶の準備をしてくれているようだった。
「・・・そちらのお嬢さんは?」
ドキンと心臓が跳ね上がった。
やっぱり・・・一緒に来ないほうが良かったのかな。
「俺の・・・大切な人です。ここに一緒に来てほしいと無理に頼んできてもらいました」
陸さん・・・
陸さんの真剣な表情に、百合さんのお父さんの表情が緩んだ。
「そうか・・・陸くんに会うのは百合の葬式以来か・・・もう4年になるんだね」
そう言い、寂しそうに窓の外を見るお父さん。
百合さんのお母さんがあたしたちに紅茶を出してくれた。
「しばらく見ないうちに随分大きくなったのね」
そう微笑んでお父さんの横に座る。
ドキドキしていると、お父さんから思いがけない言葉を言われた。
「陸くん、あの時はとんでもない事をしてしまった。百合が死んで、気が動転していたとは言え、君を殴るなんて・・・どうか・・・許してくれないか」
お父さんは座ったまま、頭を下げ続けていた。