乱華~羽をくれた君~【完】
嫉妬心
季節は秋になっていた。
一緒にショッピングに出かけていた栞が、ふと口にした。
「もーすぐ陸さんの誕生日じゃない!?」
その言葉にハッとした。
忘れていたわけじゃなかったけど、いざ誕生日が近づいてくると色々と不安になってしまう。
「なにー!?奈緒、忘れてたとか!?」
栞があたしの顔を覗いて笑っていた。
「覚えてるよっ、…いや、あのね?うちら付き合ってから、初めて陸さんの誕生日を迎えるんだけどさ、プレゼントあげるだけじゃなくて、何か特別な事してあげたいなぁって思ってて…」
「いいねぇ!でも、陸さんは奈緒がいてくれるだけで十分って思うだろうけどっ…」
「そ、そんなことないよっ!」
恥ずかしくなって俯いた。
あたしの誕生日に、陸さんは高いネックレスをくれた。
あの時は本当に嬉しすぎて泣いちゃったっけ。
陸さんにもあんな風に喜んでもらいたい。