乱華~羽をくれた君~【完】
「ああ、こいつ翔真(しょうま)ね、エスペランサのヘッドやってんだよ」
あたしが不審に思ってるのに気付いたのか、亮輔さんが紹介してくれた。
「ああ、そうなんですか、よろしくお願いします」
一応にこやかに笑顔を向けてみる。
あたしもまだ頭の彼女なんだし、印象良くしとかないと…
翔真さんはそれに対して鼻で笑うそぶりを見せた。
「まぁ、よっしく~」
目の前に手を出されて握手を求められた。
まるで陸さんと初めて会った時みたい。
でもあの時みたいなドキドキ感は一切ないけど…
握手なんてしたくなかったけど、仕方なく手を伸ばした瞬間、体が後ろに引っ張られた。
「うお!陸っ!!」
亮輔さんがあたしの後ろに目線を移して驚いたので、あたしも咄嗟に振り返った。