乱華~羽をくれた君~【完】
アパートに着き、玄関のドアを開けて中に入った瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「陸さん!?」
「あー。さっきの事思い出すと、やっぱ腹立つ」
「え?さっきのって…翔真さんの事?」
「そ…顔見して?」
そう言ってあたしの顔をしげしげの見つめ、袖でぐいぐいと頬を拭った。
「ここらへんだよな、さっきキスされたの」
「う、うん…」
そして翔真さんがキスしてきた所に、ちゅっとキスしてくれた。
「ちゃんと消毒しとくから」
フッと笑って、何度も何度も頬にキスを落とした。
あたしはドキドキして身動きがとれなくて…
やがて陸さんのキスは、頬から唇の方へ移動していき、深いものへと変わっていった。
「お前はオレのもんだから…スキ見せてんなよ?特に翔真の前では気をつけろ」
「う…ん、わかった」
とろけるようなキスに、あたしの頭はぼーっとしてしまって。
ちょっと不安になったことも、このキスですぐ忘れてしまう。
陸さんのキスはまるで魔法のようだった。