乱華~羽をくれた君~【完】
自分の手元を見ると、唐揚げが真っ黒焦げになってしまっていた。
あたしは顔面蒼白になり、冷や汗がにじみ出た。
「ど、どうしようっ…」
とりあえずフライパンから唐揚げを出してみたものの、どっからどうみても唐揚げに見えない。ただの黒い玉だ。
「うーん、唐揚げこれしか買ってきてないしなぁ…」
栞が横で困った顔をしている。
すると横から沙織さんが手を伸ばし、その黒い玉をパクリを食べた。
「さ、沙織さん!?」
「うんっ、ちょっと苦いけどいけなくはないよ!?この焦げてるとこちょっと剥がしてさ、甘酢だれで絡めてごまかしちゃう?」
思いつきもしなかった提案に、栞の顔も明るくなった。
コゲコゲの黒い玉は、つやつやの甘酢だれに包まれて、あっという間に蘇った。
「いやぁ、沙織ちゃんって料理上手だよね」
栞が感心してそう言ったので、あたしも続けて頷いた。