乱華~羽をくれた君~【完】
「そうかなぁ、まぁ料理は好きだけどね…」
アハハと軽快に笑っていた。
可愛いし性格いいし気が利くし料理もうまいし。
沙織さんはかなりできた女の子だった。
空が暗くなってきた頃、鍋の準備も整い、みんなそれぞれくつろいでいた。
男はみんなテレビゲームに夢中になっていて、女の子はおしゃべりに花を咲かせていた。
陸さんが帰ってくるまでもう少し時間がある。
あたしはそっと抜け出して、リビングからベランダに出た。
窓を閉めても中からみんなの騒がしい声が聞こえる。
10月の風は、上着を羽織っても時折体がブルっと震えるくらい寒い。
ちょっと一人になりたかった。
このモヤモヤした気持ちを抱えたまま、陸さんに会いたくない。