乱華~羽をくれた君~【完】
「……水」
「へ?」
「水飲みた…」
寝ぼけているようだった。
「ああ、水ね」
キッチンに向かおうとしたが、翔真さんはあたしの腕をぎゅっと掴んで離さない。
「あ、あの…」
小声で呼びかけたとき、瞑ってた目がパチっと開いた。
「あのさ、他の男にこういう事しない方がいーと思うよ?」
「えっ…起きてたんですか!?」
腕をぐいっと引き寄せられ、翔真さんの顔が近くまできた。
き、キスされる!?
「人前でイチャイチャしやがって」
さっきの見られてたんだ―――――
体が凍り付く。
「ま、別にいーけど。お前さ、陸にめっちゃ愛されてんじゃん。もう全然不安がることねーのに」
パッと腕を離されたが、ドキドキ鳴りやまない。
「……そうなんですけど…自分に自信なくて…魅力もないし」