乱華~羽をくれた君~【完】
あたし達は待ち合わせ場所の、コンビ二へ向かった。
夜でも蒸し暑さが続く。
でも夏の夜の匂いがすごく好き。
夜中に出歩くなんて、少し前までは考えられないような事だったな。
「あっ!きたきた!!」
二台の単車がコンビニの駐車場に入ってきて、あたし達の近くで止まった。
また鼓動が早くなる。
今日はいつものように沢山の人が周りにいるわけじゃない。
4人だけなんだ。
陸さんの姿を見ると、全身に稲妻が走ったかのようにビリビリしてくる。
仕事着なのか、だぼっとした作業着に、白いTシャツで頭に黒いタオルを巻いていた。
どんな格好をしていても、かっこよく見えてしまう。
陸さんはあたし達の姿に気付くと、また柔らかい笑顔を見せた。
目が合うのはあの日以来かも。
胸がきゅーーッてなって苦しくて。
心臓が壊れそうになってしまう。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
「じゃぁさっそく行きますか!!!オレ腹減っちゃったぁ!近くのファミレスでいい?」
亮輔さんがそう言って、栞の肩にうなだれた。
栞は嬉しそうに亮輔さんの頭をなでている。
なんかそういうのいいなぁ・・・