乱華~羽をくれた君~【完】
「そうなんすか・・・俺、佐々木さんが辞めるってなった時、泣いた記憶あります」
「ああ、俺も覚えてる。君は絶対泣かない奴だったのにな、あの時初めて涙を見せたな・・・」
陸さんの子供の頃ってどんな感じだったんだろう・・・
この人には素を見せてたのかな・・・
佐々木さんの前に温かいお茶を置くと、あたしに向かってにこっと笑い、会釈をされた。
「佐々木さん、何かあったんですか?」
陸さんは急に真剣な表情へと変わる。
「・・・さすが鋭いな。陸くんは小さい頃から洞察力が優れている子だったね」
「わざわざ俺の住所を調べてまで会いに来てくれるなんて、何かあったんじゃないかって思って」
お茶をくいっと飲む佐々木さんを、あたしはどきどきしながら見入っていた。
「陸くんの昔の話をしても大丈夫かな?」
佐々木さんは穏やかな表情で陸さんとあたしを交互に見る。
「はい。こいつは知ってますから」
「・・・そうか。君は消し去りたい過去なのかもしれないけど・・・お節介を承知の上で話すよ。先日、君のお母さんに会った」
・・・陸さんのお母さんに!?
確か小1の時生き別れたって・・・