乱華~羽をくれた君~【完】
「じゃぁ…陸、奈緒ちゃんの事よろしくな!」
亮輔さんが自分の単車にまたがり、栞がその後ろに乗った。
「え!!!」
「はぁ!?ふざけんなよっ」
あたしの声と同時に陸さんが叫んだ。
顔を見るとものすごく嫌そう。
状況が全く飲みこめないんですけど…
…確かにバイクは二台しかなくて。
栞とあたしは運転できないし、そりゃどっちかの後ろに乗らなきゃないわけで…
栞の顔を見ると、にやけている。
「じゃぁ奈緒!!ファミレスでねぇ!!陸さん、先に行ってまーす!」
亮輔さんと栞を乗せたバイクは勢いよく駐車場を出ていった。
…って…
二人っきり…
どうしよう!!…
陸さんは…先ほどと変わらず、すんごい嫌そう。
あの王子様のようなスマイルはいずこへ…!?
こんな所に二人で呆然としているのもなんだし、思い切って話しかけてみようかなと、
「あ…あのぉ…」
と、声を掛けた瞬間。
「んぁああっ!?」
ギロリと鋭い目であたしを見下ろした陸さん。
ひぃいいいいいいいいいこ、こわい…
陸さんって…こんな人だっけ!?
初めて会った時はこう…満面の笑みで…
王子様のような顏で…優しく微笑んで…
や、優しい…?