乱華~羽をくれた君~【完】
「そう言えばこの前、陸の誕生日だったわね」
「覚えてたのか?」
「当たり前じゃない。あなたを忘れた日なんて、一度もなかったわ。度々岩沢に連絡して陸は今どうしてるか聞いていたのよ。…本当は会いたくて会いたくて仕方なかった」
やっぱり陸さんのお母さんはちゃんと思っててくれてたんだ。
新しい生活を送ってても、ずっと陸さんの事気にかけてくれてたんだ。
彼女は財布からお札を取り出した。
「こんな形で申し訳ないけど…これで好きな物買って?」
しかし陸さんはすぐにお札を返した。
「いらねーよ、受け取れない」
「…陸…」
「あんたはあんたで今ちゃんとした生活送ってるんだろ?だったらそっちを大事にしてほしい。俺はその気持ちだけで十分だから」
陸さんのお母さんは少し悲しげに笑っていた。