乱華~羽をくれた君~【完】
別れ際に、陸さんのお母さんがそっとあたしに耳打ちした。
“陸が優しく育ってくれてよかった。奈緒ちゃんのおかげなのかな、陸の事…よろしくね”
そう言ってもらえて、心が温かくなった。
陸さんと陸さんのお母さんは連絡先を交換して、また会う約束をしていた。
少しずつでも、今までの会えなかった時間を埋めていってほしいな。
駅に向かう途中、陸さんが突然手をつないできた。
いつもなら外で手をつないだり、イチャつくのが嫌いなはずなのに。
「・・・どーしたの!?」
「たまにはいーんじゃね?・・・ここ埼玉だし」
「え、そういう問題!?」
「奈緒」
「・・・ん?」
「さっきあの人に言ったこと、本当だから。今までの事があったから、今お前とこうやっていれるんだと思う。俺さ、もっかい人生やり直せたとしても絶対また同じ道選ぶから」
「・・・・・・」
「・・・って・・・俺がこんなクサイセリフ言ってんだからなんか言えよ!」
「あははははは・・・」
「てめー!」
あたしの頭をぐちゃぐちゃにかき回す。