乱華~羽をくれた君~【完】


別れ際に、陸さんのお母さんがそっとあたしに耳打ちした。



“陸が優しく育ってくれてよかった。奈緒ちゃんのおかげなのかな、陸の事…よろしくね”




そう言ってもらえて、心が温かくなった。




陸さんと陸さんのお母さんは連絡先を交換して、また会う約束をしていた。


少しずつでも、今までの会えなかった時間を埋めていってほしいな。




駅に向かう途中、陸さんが突然手をつないできた。



いつもなら外で手をつないだり、イチャつくのが嫌いなはずなのに。



「・・・どーしたの!?」



「たまにはいーんじゃね?・・・ここ埼玉だし」



「え、そういう問題!?」


「奈緒」


「・・・ん?」


「さっきあの人に言ったこと、本当だから。今までの事があったから、今お前とこうやっていれるんだと思う。俺さ、もっかい人生やり直せたとしても絶対また同じ道選ぶから」



「・・・・・・」


「・・・って・・・俺がこんなクサイセリフ言ってんだからなんか言えよ!」


「あははははは・・・」



「てめー!」




あたしの頭をぐちゃぐちゃにかき回す。


< 261 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop