乱華~羽をくれた君~【完】
乱れた髪の毛の隙間から陸さんの顔が見えたので、がしっと両手で顔を掴み、キスをした。
「ありがとう。あたしと出逢ってくれて。あたしを羽ばたかせてくれてありがとう」
「・・・・・・ナマイキ」
ぐっと力強く抱き締められた。
「今度は奈緒の母ちゃんに会いにいかねぇ?」
「・・・うん・・・」
「卒業したら・・・籍入れたいって事いっときてぇし」
・・・・・・籍!?
「せ、籍って・・・」
「・・・結婚しねー?」
あまりにも驚くことを言われると、人はしゃべられなくなってしまうものなのか。
あたしはしばらく固まって動けなかった。
その様子が面白かったのか、目の前で笑い転げてる陸さんを見て本気なのかと問いただすと…
「一生俺の側にいろよ」
と、出逢った当初の意地悪な笑みを浮かべて言い、深いキスをしてきた。
君はあたしに大きな羽をくれた。
希望と幸せの羽を。
それを背中につけて今、新たなスタートラインに立っている。
そう、あたし達の物語は始まったばかり。
これからこの羽をつけてどこまでも飛んでみせるよ。
君が幸せになるのならば。
END***