乱華~羽をくれた君~【完】


母には言えずにいた。


信じてくれるわけがないし、心配もかけたくなかったから。



母は昔から精神的に弱い人で。


自分が一番可愛くて。


あたしの事を考えてくれた事なんて、あったのだろうか?


そんな人に言えるはずがない…



義父の実家は資産家で、尚且つ義父自身も大企業の社長なので、あたし達はお金に全く困らない生活を送っていた。


母はこの男に夢中なのだ。



そこに愛があるのかわからないけど。



あたし達はこの男に頭が上がらない。



だから逆らえない事をわかって、汚いことをしてくるのが憎くて憎くて。



小さかったあたしは、ただ必死に耐える事しかできなかった。



泣き顔なんて見せたくない。


汚い、憎い父親。


いや


父親とは思いたくもない。

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