乱華~羽をくれた君~【完】
花火は近くの砂浜でやることになった。
外灯が少なく、花火には絶好の場所だった。
メンバーは理香子や栞の学校の人達ばかりで、一度もしゃべったことはない。
みんな色んな花火を、楽しそうにやっている。
輪の中に入れないでいるあたしに、栞は花火を持ってきてくれた。
「はい、奈緒の分!」
「ありがとう~」
火をつけると瞬く間にその場が明るくなる。
「ねぇ奈緒」
その時、栞が静かに話し始めた。
「ん?」
「あたしね、亮と出会えてホントに良かったと思ってるんだぁ」
「なに急に!ノロケ!?」
横を見るといつものおちゃらけた感じとはまた違う、大人の女性の顔をした栞がいた。
「ふふ・・でも本当。
亮がいなかったら今頃あたしどうなってたかなって」
「・・・え?どーゆーこと?」
「実はうちね、ものすごい借金があって。
ババァの好きになったやつの借金。ババァが肩代わりしたの。
ただでさえうち、父親いなくて大変だってーのにさ・・
そんで中学の頃、差し押さえになって車とか持ってかれちゃって・・・うちホント貧乏になっちゃって」
「え!!そんな話聞いてないよッ!?」
「うん。言わなかった。
てか、言えなかったの、恥ずかしくてさ。
ほら、修学旅行にいけなかったのも風邪って言ってたけど・・そのせいなんだよ。金なくてさ・・」