乱華~羽をくれた君~【完】
「そんな時に理香子の中学の先輩だった亮に出会って。
あたし一目ぼれしてさ、そしたら亮もだって言ってくれて。
なんだか真っ暗だった暗闇に明かりが見えた気がして。
うちはその通りだったし、高校も行かないつもりだったの。
でも・・・亮が行けって。オレも援助するからって。」
「亮輔さんが・・?」
「うん。そりゃもちろんそんなの断ったよ?!
金の問題で迷惑かけたくなかったし。
でも亮があたしと将来結婚したいからってさ。
好きなんだから当たり前の事だって。
大金なんてないけど一生懸命働くからって言ってくれて・・・
その気持ちが本当に嬉しかった。この人があたしの運命の人なんだなって思えたんだよね」
栞の体にキラキラと花火の光が反射していて綺麗だった。
どうして今、あたしにこんな話をしてくれたのかはわからなかったけど、きっとこの事をあたしに話すのにもずっと抵抗があったはず。
「栞、話してくれてありがとう。
あたしなんかに・・・ホントありがとう・・・」
「あ!!その『あたしなんか』っていうの!!
奈緒の口癖だよね~!!
よくないよ!!・・・・奈緒はあたしの親友なんだからさ。
話して当たり前!!
ただちょっと恥ずかしいことだったからさ。
今まで言いにくかったんだ。ごめんね?」
そう言って栞は3本目の花火に火を付ける。
話して当たり前か・・・
あたしも栞に言いたい・・・
“実はあたしお義父さんにねっ…”って。
でも今はまだ言う勇気がない・・・
軽蔑されたらって思うと怖くなるから・・・