乱華~羽をくれた君~【完】


本当の父を恨んだ日もあった。


どうしてあたしたちを捨てたのか・・?


父さえいてくれたらこんな事にはならなかったのに。



義父の機嫌をとるのに毎日必死な母。


娘がその男に抱かれてるとも知らずに・・



前にあたしのわがままで義父を困らせた時、母は狂ったようにあたしを叱った。



“どうしてあの人の言う通りにできないの!?”


“お願いだから困らせないで”




そんな言葉が毎回母の口から飛び出す。


そのたびに幼いあたしは、母はあたしよりあの男のほうが大事なんだ、と思うようになっていった。



あたしには居場所がない。


こんな事、誰にも言えない。



きっと軽蔑されるから・・



幼い頃からずっと、心の中にどす黒い重い錘が沈んでいる。


そして男の力に勝てない自分のひ弱さがいやでいやでたまらなかった。


大人になったらすぐに家を出よう。


そればかりを考えていた。

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