乱華~羽をくれた君~【完】
「す・・すみません・・!」
無言のままの陸さん。
またやってしまった。
今日は陸さんに何度助けられただろうか。
沈黙ばっかだし、きっと呆れられてるかも・・・
こんな手間のかかるやつ、なんで彼女にしてしまったんだろうって後悔してるかもしんない。
自己嫌悪に陥ってると、突然陸さんが笑い出した。
「くっくっく・・・」
「え?」
「あんた・・・本当おもしれーな。狙ってるわけ??」
「な、何がですか?!」
「さっき海岸ではコケるし、素・・だよな?あんたのそういうとこ、いいと思うけど。もしかして緊張してんの?」
シンクに寄りかかり、腕を組んで楽しそうに笑う陸さん。
「え?だって・・・」
「大丈夫。あんたの考えてることなんてしねーから」
それを聞いてあたしがほっとしたのも束の間・・・
「今は・・・な?」
と、耳元でそっと囁かれ全身が硬直する。
陸さんを見ると意地悪そうな笑みを浮かべ、あたしにタオルを渡した。
「あんたの困った顔、見るの好きかも」
からかわれているって事はわかってるんだけど、そんな風に言われたら嬉しくなってしまう。