乱華~羽をくれた君~【完】
学校には行けと陸さんから言われていたので、あたしは次の日からしぶしぶ学校へ行った。
もしかしたら家から学校に連絡がいってて、連れ戻されるんじゃないかと思っていたが、いらぬ心配だった。
家からは何の連絡もない様子。
ホッとしたが、同時にちょっと寂しくもなった。
お母さんに、“もうあなたはいらない”と、言われているような気がしたから。
あんなひどいことしたんだから・・
当たり前だよね・・
その日の夕方、学校から帰ると陸さんが玄関の前で地べたに座っていた。
作業着のまま、単車のプラグの交換をしている。
「ただいま」
「おー・・」
返事はしたが顔は単車のほうに向けられたまま。
この人は三度の飯より単車が好きなんだと思う。
あたしはアパートの中に入り鞄を置くと、料理はあまり得意ではないが夕飯を作ることにした。
一時間ほどしてようやく陸さんが部屋に入ってきた。
「あー疲れた。・・・あれ?飯作ってくれんの?」
「うん・・たいしたものは作れないけど・・・」
ようやくタメ口にも慣れてきた。
慣れない手つきで野菜を切る。あたしの手元を覗き込んで、陸さんは言った。
「ふうん。一応女の子なんだ?」
「100%お・ん・な・の・こですぅ!!」
あたしがひねくれた態度を見せると、陸さんは笑い、ソファーに横になった。
この人はどこまであたしをからかえば気が済むんだろう。