乱華~羽をくれた君~【完】
『おい、聞いてんのかよ?栞、ショックでかいと思うからお前がしっかり支えてやれよ!?』
「う、うん・・わかってる・・」
『んじゃ・・・頼むぞ』
陸さんの最後の言葉で、あたしは気を取り戻した。
電話を切り、栞に伝えると突然泣き出してしまった。
「栞・・とりあえず急いで病院いこ・・?」
あたしは栞を支え、立たせようとするが、栞はショックが大きすぎてうまく足に力が入らない様子。
栞を抱きかかえ、タクシーに乗り込み、病院に向かった。
久米の総合病院まではアパートから車で30分はかかる。
車内で栞はあたしに寄りかかりながら、静かに口を開いた。
「奈緒・・ごめんね・・」
「なに言ってんの・・今はそんな事気にしないで?」
「・・あたしね、いつかこんなことが起きるんじゃないかってずっと思ってた・・最初は族の彼氏なんてかっこいいって思ってたけど・・どんどん亮の事好きになっていくうちにすごく大事になっていって・・族なんて辞めてほしいって本気で思うようになっていってさ・・」
「うん・・わかるよ・・大丈夫。亮輔さんは絶対大丈夫だから。」
あたしは栞の汗ばんだ手を、ぎゅっと握って離さなかった。
今あたしにできることと言ったらこれくらいのことしかないから・・