乱華~羽をくれた君~【完】
OKの返事をして電話を切った。
クローゼットから薄手のカーディガンを取り出し、義父の力強い手で握られた腕の痣を隠すように、上から羽織った。
不安をかかえながらも、そっと家を抜け出した。
外はもう真っ暗だったが、さっきまで降っていた雨はやんでいる。
あたしの何かが変わるような、そんな気がした。
急いで待ち合わせ場所のコンビニまで行くと、栞が雑誌コーナーで立ち読みしていた。
「ごめん遅くなって!」
そう言って近づくと、栞は顔を上げ、ニッコリと笑った。
「もう!遅刻だよ!」
彼氏に会うからなのか、いつもよりメイクも濃いし、服も気合いが入ってるように見える。
「んじゃ、行きますか!」
読んでいた雑誌をラックに戻すと、栞は勢いよくコンビニのドアを開けた。