乱華~羽をくれた君~【完】
第2章
ネックレス
---7月
まだ梅雨明けもせず、雨の日が続いていた。
厚い雲に覆われ、どんよりとした天気はまるで、あたしの心の中のようだった。
亮輔さんは全治三ヶ月の怪我だったけど、リハビリを頑張っていたので、周りの看護師さん達から、治りが早いかもしれないと言われていた。
入院中、栞はほぼ毎日学校が終わってからお見舞いに行っていたし、あたしもちょこちょこ一緒に行っている。
病院に向かう途中、電車に揺られている間はいつも外の景色を眺めていた。
そして、今日もしつこいくらいに雨が降っている。
「こんにちは~」
病室のドアを開け、声をかけると、ちょうど亮輔さんがベットから立ち上がろうとしていた。
「亮!杖は?!」
栞が亮輔さんの側に寄り、腕を支えてあげた。
「杖?かっこわりーし。こんくらいの怪我よゆーよゆー!」
「もー!!最初はあんなに痛がってたくせに!!」
亮輔さんは栞に支えられながら、近くにあった上着を取り、羽織った。