乱華~羽をくれた君~【完】
「俺、陸と同中だった広樹っていーまっす!名前なんてーの!?かわいーね!」
広樹さんは見た目と正反対に、軽いノリの男だった。
目をまん丸くさせて、興味津々の様子であたしを見つめる。
「奈緒・・です・・」
「へぇー陸~今までの女とは正反対なタイプだな」
その瞬間、陸さんは広樹さんの腕を掴み、立たせようとした。
「広樹。もーいいだろ、帰れよ」
「うーケチぃ・・陸の彼女、どんな子なのか気になるんだもぉん」
広樹さんは猫なで声で言ったが、陸さんには通用しなかった。
「いーから!」
「わかったって。んじゃーねぇ!奈緒ちゃんまた今度陸に内緒で遊ぼうねッ」
にこやかに手を振っていた広樹さんを、陸さんは無理やり追い出した。
バタン・・!!
そこまでして無理に追い返さなくても・・・
「広樹さん、せっかく来たのによかったの・・?」
「いーんだよ。あいついると、うるせーから」
確かにうるさい感じけど・・あんな追い出し方しなくたって良かったのに。
広樹さんに対して、やけにムキになる陸さんの態度がどうも気になった。
でもきっと聞いたって教えてくれないんだろうな・・
腑に落ちない顔をしていると、陸さんが言った。
「広樹に惚れた?」
「な、なに言ってんの!?」
「ふぅん、あんたはあーいうのがタイプなのか」
「だ、誰もそんなこと言ってないじゃん!」
人が真剣に考えてんのに!!
陸さんは笑って、あたしの頬っぺたを軽く引っ張った。