乱華~羽をくれた君~【完】
「ん?」
「この前広樹さんが陸さんのアパートに来たとき、陸さん、なんか様子変だったじゃないですか・・」
「・・そう?」
「はい・・何かあるのかなーって思って」
「ああ・・んー。俺おしゃべりだからさ、色々話されるのがいやだったんじゃね?」
「なんかあたしに隠し事とかあるんでしょうか、たとえば・・元カノの事とか・・」
自分で言っておいて、心臓がドキンとした。
「え、奈緒ちゃん陸の元カノの事知ってんの!?」
「あ、ちょっと聞いただけなんですけど・・・何かあるんですか?」
急に険しい表情になった広樹さんの顔を見て、鼓動が早くなった。これ以上、聞かない方がいいような気がする。
でも・・・止まらない。
「知ってるなら・・陸さんの元カノの事教えてほしいんです・・・元カノって、理香子ちゃんのお姉さんなんですよね??‥それでこの前、理香子ちゃんに色々言われて‥尋常じゃない様子だったんで…」
広樹さんは足を組みなおし、頭に手をあてた。
「俺・・言ったら陸に殺されっかも」
「聞かなかった事にしておきます!」
「・・元カノの事聞いて、辛くなんないの?」
「はい・・・」
辛くならないわけがない。
“元カノ”という言葉を聞くだけでもこんなにどきどきするのに・・
広樹さんは大きくため息をつき、静かに話し出した。
「んー・・・・陸の元カノね、レイプ‥されたんだよ」
「え・・!?」
レイプ・・・!?