乱華~羽をくれた君~【完】
「俺と百合(ゆり)は幼馴染でさ、あ、百合って元カノね?俺ら3人同じ中学で、一緒につるんでたんだけど、中一の終わりぐらいから学校サボって毎日めちゃくちゃな事やってて。その頃かな~陸が族に入ってさ。あいつも色々あってさ、結構荒れてたんだわ」
「あの・・色々って?」
「あいつ小さい頃親に捨てられたらしくてさ。それも小1の時とかって、もう色々わかってくる年頃じゃん?だから相当辛かっただろうな・・それからずっと施設で暮らしてたらしいんだけど」
「あたしには親死んだって・・」
「あー・・陸はもう親のことは記憶から消し去りたいだろうからそう言うだろーな・・」
・・・そうだったんだ・・
陸さんの過去にそんな事が…
ずっと独りで生きてきて・・寂しかっただろうな…
胸が苦しくなった。
「そんでね、百合はずっとそんな陸の事が好きでさ、陸はいい奴だったけど、その頃あんま人を信用しねーやつだったから百合から告られてもフッたりしてたわけよ。でもある日突然あいつら付き合うことになっててー。それは俺にも何があったかしらんけど。それから陸はちょっと変わってさ。柔らかくなったっっつーか・・穏やか~になったっつーか?」
「そうなんですか・・」
「・・奈緒ちゃん」
「え?」
「やっぱやめとこーか?顔色・・悪くね?」
広樹さんはあたしの顔をのぞきこんだ。