スローペース
「ん~? なぁに??」
見ると、空の顔にはさっきの様なおどけた笑顔は見当たらなかった。
代わりに一瞬見せた、真剣な表情がこちらを見ている。
沈黙を破ったその顔に驚いた。
「るなは俺らが会った時の事、覚えてる?」
もちろん、
忘れられるはずがない。
あなたを始めて見た時のあの気持ち
紙ヒコーキと共に触れた大きな手
そして私の名前を呼んだ魅力的な声
...何もかもがわたしの中であの時のまま生きている。
「うん。覚えてるょ」
「そっか...」
また空は黙って考え始めた。
でも今回の沈黙はそんなに長く続かなかった。