スローペース
「?」
私は首を傾げながらいつもと違う雰囲気の空をじっと見ていた。
「はぁー...」
空はわざとらしく大きなため息(翼がよくやる)をつき、
私の方にゆっくりと近づき、肩に
そっと手をおいた。
...毎日会って話していたのに、ここまで空が近くに来たのは初めてだった。
心臓は空に聞こえるんじゃないかと思うくらい、
ドクドクと鳴り響き、
この瞬間に色を添える。
「お前は鈍感すぎ」
「なにが」
「気付けよ」
「だからなに??」
すぅ~...っと息を吸い込み私を見つめてくる。
あぁ、
あの優しい瞳に吸い込まれそう...
「俺も男だから...
長いのはちょっとね。」
そこで照れたように笑う。
そしてもう1度、
真っ正面から私を見つめた。
「るな、
シンプルに言うよ?
.....好きだ。」
涙が自然と目から流れ落ち、
頬をつたう。
夢なのか
現実なのか...
分からない程の衝撃。
でも...、
今はただ
はっきりと
私を好きだと言ってくれた空が
心の底から愛しかった。