未来観測
彼の反応を見るのがどうしても怖くて
でもこの沈黙にも耐えられそうにない。

そんな葛藤が自分の中で始まっていた時
ふいに彼が口を開いた



「せんせー?」



消え入りそうなか細い声。
一瞬その声が幻かと思ったあたしは、恐る恐る顔を上げる

すると彼があたしの方に向かって足を進めていく、その途中の光景があたしの目の中に映った



「あの…赤谷くん?」



あたしの声には反応を見せず
とうとう目の前に迫ってきた彼は
あたしの手をぐっと掴む



「先生、本気?」


「…え?」


「だから…
さっき言ったこと本気?」


少し震えていた彼の声。


どうしよう。




何だかすごく愛おしい。




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