未来観測
あたしの発言に少しだけ笑った彼は
あたしの瞳を捕らえ、ゆっくりと口を開いた



「俺、絶対無理だと思ってて…
だからさっきキスしちゃった時も、俺何やらかしてんだってすごい後悔して。
だけど…
先生も同じ気持ちだったって…俺、そう思っていいの?」



いつも自信たっぷりで
何にも怖いものなんてなさそうな、そんな勝気な彼が
あたしにだけ見せる表情。

そう。
彼があたしに言ったように
あたしは彼の“こんな”ところが好き。

いっつも笑ってて
隙なんて全くなくて
だけど時々見せるこんな表情。


余裕なんてなくたっていい。
弱くたっていい。


あたしはいつも恋愛においては
相手に支えてもらうことだけを考えて生きてきた

だけど彼は。
赤谷君は。

あたしが支えてあげたい、そう思えた唯一の人だから。




「うん。
あたしも同じ気持ち」




少しだけ震えた手で
彼はあたしの腰に手を回し

そして。
そっと二回目のキスをした






< 108 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop