未来観測
その後はお互い何となく照れ笑いをして

そういえば保健室行かなくちゃね、なんて話しながらもう一度深いキスをした


あの教室だけが
高校という場所から離れた異質な空間のように思えて
あたし達は思いっきりその場の空気に酔いしれていたんだと思う


その後は。
予定通り彼を保健室へ連れて行き
あたしは職員室へと足を進めた




あの日から一週間。
何にも変わらない現実の中で
あたしの日常に少しだけ小さな変化が訪れていた


「先生?今寝てたでしょ?」


毎日寝る前の彼との電話。

あの日以来学校ではあまり会っていない
あたしがそう彼に頼んだから。


「寝てないよー。
赤谷君の電話ずっと待ってたんだもん」


毎日この時間が楽しみで仕方ないのに
寝るだなんてありえない。


「…先生?」


「ん?」


「何でそんな可愛いこと言うの?」


「…は?」


「そんなこと言われたら、俺会いたくなっちゃうじゃん。
あれ以来全然本人に会えてないのに…」




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