未来観測
ほとんどが白で埋め尽くされた部屋。
落ち着いた雰囲気の中にいつもとは違う彼の存在が在るだけで
ここはあたしの部屋じゃないように思えた


「適当に座って。
今お茶入れるから」


あたしの緊張とは裏腹に
その日の彼はよく喋り、よく笑った。

気まずくならないように、なんて
無理して借りてきたお笑いのDVDを二人で見て

その後たわいもない話をしながら
あたしが作った料理を二人で食べた



「先生、料理上手いじゃん。
俺てっきり先生は家事できない人だと思ってた」


「え?何それー?
あたしだって頑張ればこんくらい出来るんだから」


「すごいすごい。
ますます俺、先生のこと好きになった」


真顔でそんなことを言う彼に
思わず咳き込む

今日は二人とも
あえてそういう空気になることを避けていた気がしたから
突然のことに驚きを隠せなかった


「ちょっと…
食べてる時に変なこと言わないでよ」


「ごめんごめん。
でも先生の料理本当おいしいよ?」



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