未来観測
彼の手が妖しくあたしの身体に触れる

キッチンの壁に押し当てられた身体に
もう逃げ場はなかった


「ちょ、ちょっと待って」


「…ん?」


聞こえているはずなのに
彼はあたしの声を無視して、今度は首筋に唇を這わせる

ゾクゾクと身体の中からわき上がる快感。


「…っ。ねー。寛人…
ダメだって…」


すると彼はようやくあたしの身体から自分の身を離し
「嫌?」と一言だけ聞いた


「え?」


「先生が嫌なら、もう何もしない」



…何それ。
彼はきっと知っているんだ。

あたしが嫌なんて言えないことを。

知っててあたしをからかってる


一気に冷えた体温は
あたしが彼を欲しがっている証拠だった



「…嫌じゃない」




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