未来観測

「分かってるって～
でもさ、俺びっくりしちゃったよ」


「え？」


「赤谷先輩。
触んな、とか言ってさ～
何か先生の彼氏みたいだったね」


多分冗談だった
ていうか。今思えば冗談の他に何もあるわけがない

でも。
その時のあたしはきっとひどい顔をしていたんだと思う



「…えりちゃん？」


「そんなはずないじゃない…」


「え？」


「そんなはずあるわけないでしょ！」


気付いたらそう叫んでて
怒るだなんて認めてるのと同じなのに。

そう思った時にはもう遅かった



「あ…ごめん」


「いや…
変な冗談言った俺が悪かったんだし」


そうバツが悪そうな顔で言う彼に
取り繕うように笑うあたし


「そ…そうだよね～
下崎君がいてくれなかったら、みんな変な誤解とかしちゃってたよね～」


「…うん。
確かに…」


空気が重くて
重くて重くて。

もう耐えられなかった