未来観測
「…浅岡さん」


「見て、えりちゃん。あの黄色いバッグ持った背の高い人分かる?
今ゲート通った人!」


「え?あぁ…うん」


「あれなの。
前えりちゃんに相談した元彼って」


一瞬状況が読みこめなくて、すっかり止まってしまった思考回路を
無理矢理呼び戻した


「あぁ…そっか。
同じサッカー部って言ってたもんね」


必死に動揺を抑えながら
笑顔で答える


「彼今三年生なんだけど、もう受験終わってるから部活出てくれてるの。
あたし的には、いっぱい会えるしラッキーなんだけどね」


そう無邪気に笑う彼女に対し
どうしようもなくざわつく胸の音。



「まだ…好きなの?彼のこと」


「うん!
卒業するまでは諦めないって決めたの。
彼にもちゃんと言ったんだ、あたしの気持ち」


「…え?」


「こういうのって言ったもの勝ちでしょ?
彼だってもう一度考え直してくれるかもしれないし。」

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