未来観測
「うん。
…そうだね」


彼女の言葉を肯定するしかないあたし。
あたしの答えに安心したのか、彼女は傍にあるベンチに腰を下ろし友達と談笑を始めた


情けなかった

情けなくて、だけど同時にすごく悔しかった


たった一人の。
あたしより6歳も年下の女の子が放つ言葉の一つ一つが、その時のあたしにとっては何よりも怖くて
ちっぽけな寛人とあたしの世界を壊す唯一のものと思えて仕方なかったんだ



それからの試合時間。
彼女はずっと目で、声で、心で彼を追い続けた

そんなこととは露知らず、寛人はグラウンドから時々あたしを見ては
照れた笑顔を見せる

その度にあたしはどんな反応を返したらいいのか分からず
何度も何度もその視線から逃げようとした



浅岡さんに気付かれでもしたらどうするのだろう。


その時のあたしの心の中はそればっかりで
何が自分をそんな風にしてしまったのか

答えの見えない迷路の中で彷徨っていた


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