未来観測
「…え?」


ふと我に返ると、心配そうにあたしを見つめる林先生の姿があった


「何か、難しそうな顔してたから。
体調でも悪いんですか?」


「あ…いえ。
平気です」


「あんまり無理しないで下さいね。
何かあったらすぐに言って下さい」


「…はい」



ふと視線を横にずらすと
心配そうにあたしを見つめる彼と目が合った

時間がほんの数秒止まる



「ねー、寛人?
聞いてる?」


浅岡さんの声がしたその瞬間
さっとはずされた視線。


「え?
何だっけ?」


笑って誤魔化そうとする彼に
頬を膨らませながら、甘えるように寄り添う彼女。



何かが壊れる音が聞こえた

あたしと彼の世界の一部が
音を立てて壊れる音。




惨めだった


自分にはない、何かを見せつけられたようで

それでも何もできない自分が

すごく惨めに感じられたんだ


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