未来観測
「俺さ、初めに先生に言ったじゃん?一ヶ月だけだからって」


「あぁ、うん。」


「最近さ、明後日の模試が終わったら、先生とこーやって放課後会うこともなくなっちゃうんだなーって思ったら、妙に寂しくなってきた」


そう言っていつもより小さく笑う彼を見て
なぜだろう。
胸に小さな痛みが走った



「何言ってんの。
受験生は受験生らしくお勉強のことだけ考えてなさーい」


普段より明るい口調で言葉を投げたのは
決して見せてはならない本心を隠すため


「そっか。
先生は全然寂しくないんだ?」


彼の試すような目線に
変に心がドギマギする



「え?
…ていうか。
寂しいとか寂しくないとかそういう問題じゃないでしょー」




こういう時の大人ってずるい。
子供の頃感じたそんな想いを、今大人になった自分が再現してる。

人生そう上手くはいかないものだ。




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