未来観測
「やっぱりねー。
先生のそういう期待を裏切らないっていうかなー。
そういうとこ、すげー良いと思うよ。」


そう言って威勢よく笑った彼に
あたしはまたぷっと膨れる


「何よー、それ。
変なことで期待されても困るもん。」


妙に居心地の悪い環境に、不機嫌さマックスなあたしは
まだ笑いが止まらない彼に対しキッと睨みをきかせた


「ごめんって。
別に変な意味じゃないんだから、いいじゃん。」


「…でも。……って、……

あーーー!
やっばーい!
会議の時間もうすぐじゃん!
あー、もうやだー!

赤谷君のせいだからね!」


「何でだよ。
俺そんな風に責められる覚えなんてないもーん。

てか早く行った方がいーんじゃない?」


「…!」


「俺はお先に失礼しますよー。


せんせーばいばーい」



あたしをからかうだけからかって教室を後にした彼は
あの憎たらしくも可愛い笑顔を残し
そそくさと教室から姿を消す


「…あー、もー!」



一人虚しく教室に響いた声に
あたし自身が一番虚しくなる



その数時間後。
会議に遅れたあたしがこっぴどく叱られたのは
言うまでもない






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