未来観測
「顔も赤いし…
熱でもあるんじゃないの?」


「ううん。
本当に大丈夫だから!
心配しないで。」


そう精一杯の笑顔で彼を見ると
見事に眉毛がへの字に曲がっていて

本当にあたしを心配そうに見る彼の姿に
やっぱり少しだけキュンとした


「それならいいけど…
夏だからってちゃんと食べなきゃダメだからね!」


最後に一言だけあたしにそう忠告した彼は
いつもの人懐っこい笑顔を残して体育館を後にした



だめだな。
こんな普通のことであんなに動揺しちゃうなんて。
教師として失格だ。

てか生徒を好きになってる時点で、あたしってもう教師失格?


何だか色んな想いでいっぱいいっぱいになって
もうほとんど人がいない体育館で大きなため息をつく

すると思った以上に響いたその音に
あたしはより一層身体が重くなるのを感じずにはいられなかった



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